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データで見る野球の通説「打線は水物」編

プロ野球が開幕し1ヶ月が経過した。

その中でもプロ野球ファンの話題を独占しているのが埼玉西武

本格開花した山川選手を中心に、圧倒的な得点力でパリーグ首位に立っている。

 

ただ、「打線(バッティング)は水物」だからシーズンをこの勢いで乗り切れないという声は少なくない。

「打線は水物」という通説は、ファンの間で広まってるのではなく、多くの解説者も試合中に使っている。

確かに大量得点した次の試合は中々点が取れないことが多いようにも感じる。

 

そこで今回の記事では、昨年のプロ野球のデータを使って「打線は水物」を検証する。

調べていくと中々興味深いことが分かったので、ぜひ最後まで読んで欲しい。

「打線は水物」を定義する

まず水物について辞書で調べてみると、

そのときの条件によって変わりやすく、予想しにくい物事

とある。

つまり、「打線は水物」=チームの得点は日によって大きくことなり、予測出来ない、と考えられる。

また、「打線は水物」とセットで言われるのが、「投手・守備は水物でない」という説。

今回の記事では、打線=得点と投手・守備=失点を比較し、得点の日による変化が多ければ「打線は水物」であると考える

 

標準偏差で検証

中学・高校の数学で標準偏差という言葉を聞いたことがあるだろう。

標準偏差は平均値からの各データのバラツキ具合を示す。

今回の場合は、標準偏差が大きい=試合ごとの得点・失点のバラツキが大きいと言える。

 

昨年のプロ野球の試合ごとの得失点を取得するために今回はPython3によるスクレイピングを使用した。

tcdumplings.hatenablog.com

 

以下に各球団の得失点の平均と標準偏差を示す。

  巨人 ヤクルト 広島 中日 DeNA 阪神 日本ハム オリックス ソフトバンク 西武 楽天 ロッテ
平均得点 3.732 3.268 5.041 3.415 4.183 4.055 3.577 3.768 4.487 4.793 4.007 3.366
標準偏差 2.606 2.920 3.218 2.289 3.136 2.965 2.717 2.882 3.108 3.409 3.060 2.643
平均失点 3.535 4.585 3.741 4.345 4.092 3.731 4.141 4.169 3.340 3.917 3.720 4.535
標準偏差 2.953 2.932 2.826 3.220 2.903 2.824 2.704 2.724 2.958 3.190 3.013 3.208

 この表を見ても分かる通り、得点と失点の標準偏差はほぼ変わらないことが分かる。

むしろチームによっては失点の標準偏差の方が大きい。

標準偏差の観点から見ると、「打線は水物」は間違っていることになる。

 

前試合との差による検証

標準偏差のみで検証を行うと、1つ問題点がある。

例えば、飛びぬけて得点数が変化することがあっても、他の試合で変化が小さい場合は標準偏差は小さく算出される。

そこで前試合との得点・失点の差を算出し、その差になっている試合数をカウントする。

もし、得点数の変化が大きい試合数が多ければ、「打線は水物」ということになる。

カウントした結果を以下のグラフに示す。

f:id:TCDumplings:20180425224414p:plain

オレンジ色が得点、水色が失点を示す。

このグラフの―7は得点の場合、前試合から得点が7点減っていることを示す

つまり、最初に述べたような、大量得点した後の試合で打てなくなった状態である。

 

得点・失点の試合数にやや差はあるが、傾向はほぼ同じになっている。

また、値が大きいor小さい範囲では、差がほとんどないことが分かる。

つまり、打線は水物」説は間違っていると言える。

 

まとめ

ここまで検証してきた通り、「打線は水物」説は間違っていそうだ。

考えてみると、打線は水物=得点数は試合ごとに大きくことなることを相手チームから考えると、失点数は試合ごとに大きくことなることになる。

つまり、「打線は水物」=「投手・守備は水物」となってしまうため、そもそもの前提がおかしいということになる。

なんにしろ、埼玉西武のファンの方は安心して応援して欲しい

 

今後も通説をデータで検証するので、ぜひ読んで欲しい。

 

メジャーリーグの数理科学 上 (シュプリンガー数学リーディングス)

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